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0003-01 (0006)

 向かって来たのは大型の魚が2匹とやや小さめの鮫だった。
 大振りだろうと魚は魚、小振りだろうと鮫は鮫だと小刀を握りしめたら、横からコイツらの弱点は雷なのよなんてのほほんとした声。いや今そんな事云われたって俺にそんな器用な芸当は――と思ったら、光が奔った。

 ――つまり俺がこの日学んだ最大のポイントは、この講座の講師たる人間達は、「ああ俺もいつかあんな技を持とう」とか「いつかあんな風に強くなろう」と思わせようとする反面、「自分で戦わなくてもコイツらが何とかしてくれるからいいや」という、妙な依存心を強めるのじゃないのか、ということだ。魚類の真白い腹がぷかぷか3つ並んで浮かぶ様は、なんというかとてもシュールだった。
「さあ、あの椰子の実を採りに行きましょうか」
 全部を全部おんぶにだっこという訳にも(俺の気持ちが)行かなかったので、採取作業は俺が引き受けた。椰子の実は一般的なものよりもやや大きめで、実がしっかりと詰まっていそうだった。帰りに話を聞いたところ、今は物珍しさからそこそこ高値で売れる(養成所が買い取る)そうなのだが、この椰子の実は毎日必ず実を付ける為に、そのうち価値が薄れるだろうとのこと。しかし、食料としてはまずまずの品になるのじゃあないだろうか。まぁ、椰子の実で飢えを凌ぎたいとは余り思わないが。

 洋館に付いた時は、既に夜半を回っていた。受付がまだ開いていたので(随分遅くまで開いてるな)、明日の分の講座を申し込んでから、宛われた寝室に向かった。

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