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0011-01 (0022)

 今後の方針をどうするか。昨夜、宿へ戻ってきた俺達は、まずそこを相談した。
 つまり当面の目標というやつが、俺達には皆無なのだ。俺は何の当てもなくこの地へやって来たし、聞けばチャクも似た様なものだという。
「んん~、とりあえず、冒険者としての経験でも積もうか」
 その言に頷き、こうして今また、斡旋公社へやってきたというわけだが。
「大別して、護衛か狩りかだな。後は金持ちの道楽っぽいのが何点か」
「護衛って対象の街とかで別れるわけでしょ? 変に遠出する前に、暫くテュパンを基点にして、地理情報なんか集めながら~っていうのがいいんじゃないかな」
 手分けして、掲示板を埋め尽くす依頼群をざっと流し見た。一番目に止まるのは、やはり近隣の魔獣狩りや討伐隊のメンバー募集というもの。次いで、街から街へと移動する商隊の護衛要求。後は純粋な肉体労働(例えば荷運び)やら、ちょっとした屋敷の警備の様なもの等がぱらぱらと有る。
「腕試し兼ねて、ひとまず対魔獣系をこなすか。C難度くらいなら何とかなるだろ」
 依頼が書かれた用紙には、大きな判でBだのCだのと捺されている。公社が算出した推定難易度だ。自身の力量や冒険者としての経歴等を比較しながら検討出来る様にとの配慮なのだろうが、実のところその難易度というものがどういう基準で出されているのかは、明らかにされていない(例えば単純に体力的であるとか程度でも明文化してくれればいいんだが)。そこからは、依頼内容から出来るだけの情報を取得して、自己算出する必要がある。勿論、自衛の為に。
 取捨選択の後、上がったのは海蚊退治と“モルド”と呼ばれる化物の退治。二つを比較すると、前者は安い(75リーミル)が期間が短く、後者は高い(100リーミル)が拘束も長い。だが、前者の難度はBだが、後者はC。
 となると、駆け出し者としては当然──
「んじゃ~、蚊だよね、蚊。すいませ~ん、申し込みしま~す~」
 ……チャク。お前も、防御より攻撃を重視するタイプだな。

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