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0023-02

「買っちゃった! 見て! ねぇ見て!」
 喜色満面という単語以外思いつかない様な表情で、チャクが詰所の雑魚寝部屋(今日も夜間勤務である以上、宿を取るのは面倒だと考えた。一応男女別だ)に駆け込んできた。そのまま、体を伸ばすために俺が使っていた一角に向かって来ると、ばふっと音を立てて座り込んだ。
「…お前、もう少し人の迷惑顧みろよ」
 勿論、俺の云う“人”には、寝ていたところ騒がしさに起こされて憤慨していそうな辺りの連中だけでなく、そんな奴等の怨念籠もった目線を集める羽目に陥った俺自身も含まれる。
「まぁまぁまぁまぁ。ねぇほら。んね見てよ。凄いでしょコレ」
「なんだ…水晶か? 随分黒光りしてる玉だな」
「ん、水晶かどうかはわかんないけどね、これ呪われてんの! ついにぼくも呪われ仲間に入っちゃったよ!」
 わぁいと、およそ直前の台詞と合わない声を上げて「もぉこれ呪われてるから面白い位意識のすり替えが起こっちゃったりして他の杖とかを魔術の媒介に出来無くなっちゃうんだよぼく。んもどんな原理なのか全然わからないけどだからそれが面白くって」延々と喋りまくるので、ここで俺がその玉を叩き割ろうと引っ掴んで投げたりしたらどうなるだろうという辺りを想像しかかったのだが、慌てて思考を戻した。というか、もう既にこの思考の流れ方自体、大分こいつに汚染されてきている様な気がしないでもない。
 ちなみに“呪われ仲間”とは、俺・マリス・センリがそれぞれ、何某かの“呪われた装備品”をつけていた事による。俺は外套であったし、マリスは強力な魔力の籠められた短刀であり、センリは鎧であったりした。
「…まぁ、確かに色んな付加効果が有ったり、防御面やら攻撃面で優れてるのは実感してるが…そんなに呪われたかったのか、お前」
「だってダークプリーストだし。常時呪われてなくちゃ!」
 もう訳が判らない。
 とにかく廻りの迷惑になるから黙れとチャクに云い置いて、俺は詰所を出る事にした。あの視線の集まりっぷりに耐えられる程、俺の神経は図太過ぎやしなかったらしい。

ここいらのチャっくんの発言は、結構実際のPT板から拾ってきたんだったような

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