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0017-03 (0035)

 というわけで、2日ぶりにガレクシンの斡旋公社へとやってきたのだが。
「…商隊の護衛くらいしか無くないか?」
 サマナーとしての修練が終わったとかで、センリは戦士ギルドへと向かっていた。魔法剣士(ルーンフェンサー)を目指すのだそうだ。そしてマリスは、雅(と、ついでにウサギ)の面倒を見る為宿に残っている。
 というわけで、チャクと二人こうしてやって来たのだが、好事家がなんとかいう珍品を捜しているだの、原石の加工をさせてみろだの、草を持ってきてくれだの、そういった依頼しか見つける事が出来なかったのだ。
「んでも、洞窟に潜る手伝いっていうのもあるよ?」
「クラスチェンジしたばかりの人間が2人も居るんだ。もう少し軽い方が良くないか」
「あー、ユキヤくんはやっぱり弱体化してるんだ?」
「多分な」
 面白い話なのだが、クラスチェンジを行って、その後の講義を受けている最中、どうやらなんらかの刷り込み(インプリンティング)でもされているのか、それまで発揮出来ていた力を100%出せなくなるという事がある。逆に、いままでは出来ていなかった様な事(例えば目端を利かせるという物理的な事に加えて、そういった危険を肌で感じるというある種の第六感の様な)が出来る様になったりもした。一体冒険者組合が、そしてギルドがどうしてそこまで“クラス”という概念に拘るのかは定かでないが、しかしその判りやすい“役割分担”的な能力格差は成程、パーティを組んで行動するという点については有用なのだろう。
 そして俺が“弱体化”したと感じた原因は、先般大烏を仕留めようとした際に、今までなら難なくこなせていただろう行為──狙った腱を叩き斬る──が、想定していた効果に程遠かった事に因る。
 今回のクラスチェンジでセンリが前衛として能力を発揮できるようになるわけだが、前衛で壁の一角の筈である俺は、今後暫くは自身の戦闘よりもウサギの扱いに重きを置く必要がある。というか多分無意識にそうなるに違いないと思う。……刷り込みというより催眠の方が正しいのかもしれない。

 今日は宿ではなく、表にでて夕食を取った。センリは一度、戦士ギルドの中位クラスまでは終えてから魔術師に転職し上位まで済ませたとかで、今後戦士ギルドで同じ道を辿る場合、一日二日で上位になれるのだという。マスターしたクラスには、何らかの特典が付くらしい。という事は、俺の場合、スカウトとニンジャはほぼスルー出来て、ニンジャマスターではない方の上位クラスまで楽に行ける様になるという事か。だが、確かもう片方は、魔術師ギルドで一通り学んでからでないと就けなかった様な気がする。
 そうか、テイマーが終わってからの事を考えなければならない。チャクは完全に後衛を全うする気でいるし、マリスもどうやら預言者ギルドのクラス(但し他のギルドでの能力が問われないもの)をまず総なめにするのだそうだ。となれば、俺はやはり壁の一角になる必要がありそうなのだが──大人しく、戦士ギルドで揉まれてきた方がいいのかもしれない。

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