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0020-02 (0041)

 むかしむかしのこと。ひとりの男がおりました。
 男には水も食料もすでになく、もはやいきだおれ寸前でした。
 もうだめかもしれない。そう男が思ったその瞬間、とつぜん、あたりがほのかにかがやきました。
 その、意志を持つ輝きは、男のいのちを救ったのです。
 男はその意志を神と崇め、この地に祠をつくり、それを祀る事にしたのでした……。

「……という、出来の悪い伝承が有るんだそうだ」
 老爺達は、この“湖の畔で神様に助けられた男”の子孫であるらしく、故にこの地に居を構え、代々その“神様”を祀っている祠を護る守部(まもりべ)なのだという。信心深さから縁の遠い俺にしてみれば、そんな昔の神(しかもそいつはログレブルが《虹色の夜》によって汚泥の沼と化すのに目もくれなかった訳だ)を未だに崇めているというのはどうも信じられない。
「それじゃあ、何かあるとしたら、その祠という事になるのかしら?」
 マリスの言葉に、俺は頷いた。ちなみにウサギは今日よっぽどマリスに構って貰ったのか、彼女にいたく懐いている。
「小舟はどうだった?」
「動く事は動くし、まぁなんとか乗れるでしょうけど、信用を置けるかどうかというのとはまた別の話ね。さっきの元は死水だったって話も合わせて、祠に行く方が生産的だと思うわ」
 それじゃあと、今まで黙って話を聞くだけだったチャクが口を開いた。
「明日祠見に行って、それでなにもなかったら、帰らない? 時間も勿体ないしさ」
「成程。本音は?」
「ぼくそろそろ中位クラスになるはずだから、ちょっとギルドの出張所にでも寄りたいな~って、どうして本音がどうって聞くのユキヤくんは~」
 結局チャクの提言が通り、明日の予定が決まった。

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