Entry

Category: みんクエ

0003-01 (0006)

 向かって来たのは大型の魚が2匹とやや小さめの鮫だった。
 大振りだろうと魚は魚、小振りだろうと鮫は鮫だと小刀を握りしめたら、横からコイツらの弱点は雷なのよなんてのほほんとした声。いや今そんな事云われたって俺にそんな器用な芸当は――と思ったら、光が奔った。

 ――つまり俺がこの日学んだ最大のポイントは、この講座の講師たる人間達は、「ああ俺もいつかあんな技を持とう」とか「いつかあんな風に強くなろう」と思わせようとする反面、「自分で戦わなくてもコイツらが何とかしてくれるからいいや」という、妙な依存心を強めるのじゃないのか、ということだ。魚類の真白い腹がぷかぷか3つ並んで浮かぶ様は、なんというかとてもシュールだった。
「さあ、あの椰子の実を採りに行きましょうか」
 全部を全部おんぶにだっこという訳にも(俺の気持ちが)行かなかったので、採取作業は俺が引き受けた。椰子の実は一般的なものよりもやや大きめで、実がしっかりと詰まっていそうだった。帰りに話を聞いたところ、今は物珍しさからそこそこ高値で売れる(養成所が買い取る)そうなのだが、この椰子の実は毎日必ず実を付ける為に、そのうち価値が薄れるだろうとのこと。しかし、食料としてはまずまずの品になるのじゃあないだろうか。まぁ、椰子の実で飢えを凌ぎたいとは余り思わないが。

 洋館に付いた時は、既に夜半を回っていた。受付がまだ開いていたので(随分遅くまで開いてるな)、明日の分の講座を申し込んでから、宛われた寝室に向かった。

0002-02 (0005)

 一寝入りして起きたら昼を回っていた。この洋館に戻った段階で日付を回っていたとはいえ、見事なまでの寝過ぎだ。そういえば船を下りて最初の夜だった事に気付く。自身は高揚していて(多分。そうでないと説明が付かない)気付かなかったが、しっかりと疲労が溜まっていたという事だろうか。そんな事を考えながら気持ち慌てて受付に行き、二つ目の講座を申し込んだ。
 昨日は気付かなかったが、この建物には外からの規模に相応しいだけの客間や寝室が備え付けられている。客間に限っても、俺が昨日通された他に少なくともあと10は軽く有るだろう。つまりそれだけ需要が有るという事で、俺が昨日ここで自分以外の受講者に会わなかったのは入れ替わり立ち替わりが激しいからで、つまり空いている講師=熟練冒険者が少ないのだろう。
 だからきっと、今現在でそろそろ2時間茶を飲み続けているという事態は、なんらおかしい事は無いのかもしれないのかもしれないが。

 講師たる人間がやってきたのはそれから更に十数分後だった。講師を連れてきた受付の女性は息を切らせていた。そういえば昨日もそんな感じだった様な気がする。やはり空いている講師が少ないという結論で正しいのかもしれない。だからって、2時間待たされた気分が落着くかと云えば、そうでもないわけだが。
 今、俺は講師――ハナさん(身近で「ハナ」と呼ぶ相手がいた所為で、どうにも名前に慣れない)とふたり、海辺へと向かっている。最近現れたという小島に生えた椰子の実を採るのだそうだ。
 今回、道中は講義ではなく、終始世間話に費やされた。講義らしきものは、あの客間で茶を飲みながら一通り行われている。自身が戦闘で身につけた特技スキルを、その後どう活用していくかという内容だ。それはつまり、自分がしっかり今後のヴィジョンを持ちながら行動しなければ、意に添ったスキルを身につける事は出来ないという事だ。道中、キミは確かにスカウト系向きだねと云われた。道すがらの会話から、彼女は俺の向き不向きを看破でもしたのだろうか。だとしたら俺は相当「読みやすい」人間という事になるが…少し自分の行動を改めた方が良いかもしれない。

 そこは「小島」というより、「引き潮で現れた砂地」という程度の場所だった。これを島と呼ぶのはさすがに憚られる気がする。
 沖合のその島まで向かう途中(なんと徒歩だ。水量が膝上程度だったからまだ良かったが)、ふとハナさんが「蚊がいるから気を付けてね」と漏らした。蚊ぐらいどうとでもと思ったところで「ぶーん」という独特の羽音。
「ホラ来た」
 声に振り向いた俺、唖然。明らかに想像していたものの十数倍の大きさだった。
 弓を構える前に「ちょっと避けてね」との声。慌てて腰を落とすと、頭上を空気の固まり(竜巻に近い)の様な物が奔ったのが解った。それは前方の海蚊シーモスキート目指して一直線に進み、粉砕した。
「例えば」
 剣を収めながら、ハナさんの講義が再開された。スキルと武器はほぼ1対1の関係にある。例えば小回りの利かない両刃剣で懐に潜り込んで急所を突く様な真似には適さない、というような。
「今のアレだって、こういう形の剣だから出来たまでだしね」
 せっかく身につけたスキルを生かすも殺すも自分次第なのだと諭された。それと、臨機応変という意味の重要性を。
「ほら、向こうからまたお客さんが白波立ててやってきたわよ。…その弓でいいの?」
 さすがに、突撃してくる鮫に向かって弓を構える気は起きない。腰にくくり付けていた小刀を手に、白波に向き直った。

0002-01 (0004)

 やりすぎ(オーバー・キル)だ。
 このターナーという男、この状態で一体ヒヨコに何を覚えさせる気なのか。

 洞窟に入ってすぐ、ケモノの鳴き声らしき鋭い音が響いた。
 ターナーは振り返り「早速来たぞ」と俺に告げる。二人とも無言で、いつでも武器を扱える姿勢を取った。
 果たして、現れたのは薄茶の毛に包まれた鳥だった。サザンランドペンギン。船上でも時折見かけた、魔獣とはとてもじゃないが云いがたい体型と力量を持ったヤツだ。それが二体。つまり定石としては一人一体受け持たなければならないわけで、それを認識した俺は矢を番え、弓弦を引絞り、放った――と、思ったまさにその時。斜め前方に居た男は地を踏みしめ飛び出し、途端ごうと鉄剣一閃。吹っ飛ぶ茶色の物体は、鮮やかな赤を撒散らす。そして物体は勢いそのままにべしゃりと壁面に叩きつけられ、ぼたっと落ちた。
 目端に入ったその光景に唖然としながらも、俺の右手は慣性と習慣のままに矢を放つ。そしてペンギンの胸元に突き刺さった矢は、そいつがこてんと倒れた拍子にぱきりと折れた。向こうの豪快さに比べて、何と静かな事か。
 男は剣を軽く拭いながら、この程度でやられるようじゃなと俺に云った。そう思うのならアンタは手を出さなくても良いのじゃないかと、遠くの茶色(もう大分赤く染まってはいたが)を呆然と眺め思う。ケモノの死に方がグロいとかエグいとか可哀相だとかでは勿論なく、単純にこの男の力量というか手段というかに毒気を抜かれたのだ。
「それじゃあここでお別れだ」
 ターナーはこの後、洞窟の奥へ潜り上納品を稼ぎに行くのだそうだ。ヒヨコの俺はここまで。まぁ、これ以上あの男に俺の戦意を喪失させられても仕方ないので、それじゃあお先にと会釈をして、洋館へ戻る事にした。

 洞窟を抜けると、既に陽が落ちている。確か養成所には簡易寝台(これも無料)が設けてあった筈だ。入る時に手続きを必要とされなかったということは多分任意なんだろう。ついでに風呂についても訊ねよう。

0001-03 (0003)

 何故か今、俺は養成所の客間で茶を飲んでいる。

 確か俺は、養成所に身を守る術を学びにやってきて、その第一番目の講座である「武装の仕方」を受ける手続きをした筈だった。それが何故、客間でカップとソーサーを手にのほほんと寛いでいるのだろう。
 受付の女性は俺をここに通した後、暫く待つ様に告げ、去っていった。それから多分、ゆうに一時間近くは経っている。
 …来るんじゃなかったか。
 今更と云われれば今更の話を聞かされるんだろう。それでもいちいち赴いたのは、五王朝に足を踏み入れるのが初めてだというのが勿論一番で、次いで、王朝内で起きた《虹色の夜》について俺が持っている情報が明らかに少ないことがその理由だった。“初級”で“養成所”だ。誰もが知っている内容だけでなく、ある程度細かい情報も取得出来るのじゃないかと、そんな期待があったのだが。
 軽い後悔を浮かべながら、大人しく探索斡旋所にでも向かおうか――そう思った時、漸く、(待ち侘びた)ドアノブのかちゃりという音が響いた。
 気持ちばかり居住いを正し、今後を待つ。

「講習とはいえ、基本は実践だ」
 前を歩くターナーという男は、養成所に雇われているらしい。
 養成所は熟練冒険者を講師として雇う。熟練冒険者は一定の賃金を貰う代わりに、「講座」関係で探索した際に得たアイテム等を残らず上納する。そしてその熟練冒険者の行動にヒヨコたる俺の様なヤツがくっついていき、アドバイスまたは実践の中から学び取っていく。これがつまり、俺達が無料である仕組みなのだそうだ。確かに、ヒヨコからなけなしの毛を毟るよりは、発見物アイテムの上納の方が儲けが出るだろう。
 今回向かうのは海岸にある洞窟。その道中で、ターナーは一応「武装の仕方」を手短に説明してくれた。つまるところ、「自身が扱えるものとそうでないものの見極め」と「買ったらきちんと身につけろ」の二点だ。…まぁ、さすがに解り切っている話であったが、ふんふんと肯いておいた。何せ俺はヒヨコなのだからして。

 そこは薄暗く、どんよりとして、底冷えのする空気が漂ってきていた。まったく「洞窟」以外の何者でもない。
 今の内からしっかり武器を手に持っておけと云う言葉に従う。そして、ターナーと俺は洞窟の中へと潜っていった。

0001-02 (0002)

 テュパンには4つのギルドがある。それぞれ戦士ギルド・探索者ギルド・魔術師ギルド・予言者ギルドと名付けられている。
 その中のひとつ、探索者ギルドに申し込み、スカウトとしてクラス登録を行った。ガチガチの前衛(攻撃を全身に浴びながら攻め込んでいく)のは俺のタイプではないし、かといって後衛で施療術に腐心しようという気もない。魔術師メイジには多少心惹かれるものはあったが、もう少し心身に余裕が出来てからでも遅くはないだろうと踏んだ。いきなり手を出すには、俺には未知の領域過ぎる様な気がしたのもあるが。
 今日中に出来るだけの事はしたい。登録を終えた俺は、急ぎ養成所へと足を向けた。

 初級冒険者養成所は、驚く事に国営ではない。民間の、多分自警団の様な連中が、《虹色の夜》以降増え続ける一方の魔獣達から身を守る術を教示する施設だそうだ。講習料は無料。全く豪気な事だとは思うが、その恩恵に預かろうとやって来ている以上、文句を浮かべる道理はない。
 海沿いの瀟洒な洋館(潮風に大分晒されて古びては居るが立派なもんだ)が、養成所だった。重厚な扉を開けた正面に、おざなりに置かれた長机。その向こうには、よく云えば落着いた雰囲気を醸し出している、俯いた女性がひとり。
 受付に近づいていくと、気配を感じたのか顔を上げ――どうやら本を読んでいたらしい。慌てて本を閉じると、どもりながら挨拶を口にした。そして一枚の紙片を取出すと、授業のコースを選んでください、という。
 紙を見ると、5つのコースが書いてあった。1番目は「武装の仕方」。最後は「最終試験」。成程、確かに「講座」じみている内容だ。
 妖精曰く“ぺーぺーのぺー”としては、上から順にやっていく事にしよう。受付の女性に「一番上ので」と告げた。

0001-01 (0001)

 揺れる地面の上での生活というのは、生まれて初めての経験だった。だからその揺れの名残が眩暈になっているだけに違いない。…と、そう思おうとしていたんだが。
「耳元でぶんぶん云うなよ。煩い」
 云って肩口を睨み付ける。そこにいた一匹の妖精――疑似目眩の元――は、むっとした表情を隠しもせず、ぎゃんぎゃんと文句を云い始めた。余計に煩くなった雑音に、こいつに対して余計な事は云わないでおこうと決意する。

 船旅を終え、漸く辿り着いた大陸――グローエス五王朝、唯一南海に接して位置する商都・テュパン。
 桟橋に降り立ち、さてまずはどこに向かったものかとあたりを見回したところに丁度現れた妖精一匹。そしてそれを追いかけていた、どうみてもまっとうな人間じゃあなさそうな男が二人。
 荒事が苦手ならば一人旅など志さない。莫迦二人を蹴散らしてから(というか、一人は妖精が魔法か何かで石化させていた。俺が居なくても何とかなったんじゃないか?)妖精を伺うと、喜色満面に(頼みもしないのに)身の上話なんぞ始めやがった。成程流翼種(フェイアリィ)というのは喧しく姦しい事この上ないもんなんだなと聞き流して街を歩いていたのだが、何を思ったかこの妖精、俺に付いてくるとか勝手に云い放った。
 裏には色々事情があるらしいが、とりあえず表面上は、この国に慣れていない俺に世話を焼いてくれるのだそうだ。全く有難くて涙が出る。その押し付けがましさに。
「…旅は道連れ世は情け、情けは人の為ならず、か」
 そうそう!と、判ってるのか居ないのか相槌を打つ妖精。いや、リトゥエ。
 実際の所、確かに俺は五王朝は初めてで、そして生まれがこの地の流翼種―――人よりは長命だろうから、見た目以上に年と経験は積んでる筈で、となれば確かにガイドには丁度いい筈だった。
 名を問われ「ユキヤだ」と答えたら、云いづらいとかなんとかぶつくさ文句を云われたのだが、俺にしてみれば“リトゥエ”なんて方がずっと云いづらい。この辺、原因は種族なのか、生まれの場所だろうか。
「で、ユキヤはこれからどこに行くの?」
「初級冒険者養成所」
「えぇ~」
「文句があるなら、さっさとどこへなりと飛んでいけ。俺は一向に構わない」
「文句っていうかさ、何、ユキヤってばさっきすぱかーんと男伸しといて、冒険者としてはぺーぺーのぺーな訳?」
 確かに一人は俺が(すぱかーんってのは何だ)伸したが、もう一人はお前が勝手に処理したんじゃなかったか?
「訳。ギルドでクラス登録するついでに回る。それでこの国での動き方なんかも判れば御の字だろ。ここから大して遠くないし、行って損は無さそうだ。で、お前はどっか行くのか」
「さっき云ったでしょ、街でひとりじゃ目立ちすぎるからくっついてくんだって。…まぁ、荷物の中ででも大人しくしてるわ」
 それはつまり、寝て過ごすって事じゃなかろうか。俺に世話を焼いてやると豪語したのは、一体どこのどいつだった?

0000-00 (0000)

  • スクエニ主催のPBM+ブラウザゲーであるところの「みんなdeクエスト」のプレイログを、自分に都合よく文章化するコンテンツです。
  • 表題部分は、通産日数-日数内連番 (リザルト番号)です。
    • リザルト関係ない捏造部分には、この()が付加されません
  • 日記自体の日付は、実際のプレイログ日です。
    • 一日二回更新(11時と23時)だったので、そこいら準拠で適当に付けられています。
  • 「続きを読む」のあとは、当時有ったことのメモやら抜粋したリザルトやらが有ったりします。
  • 考えるのが面倒なのでプレイヤー名は「ユキヤ」ですが、中の人とは勿論別物でひとつお願いします。
    • キャラ紹介等は設けようかどうしようか微妙なラインです。
  • タグに位置やら何やらを置いています
    • タグにキャラ名書いてるときは、その中の人からもらった文章です。ありがとうー。

Pagination

Utility

Calendar

03 2024.04 05
SMTWTFS
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 - - - -

Tag Crouds