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2004年05月11日

50質。

2004/05/11 (Tue) つーわけで、昨日宣言した通り、ホモエロゲームのキャラ系50質やりますよー。
 ↑投げやりも良いところだ。
あーもう。あーあーあーもう。まぁさらりとね。流して戴ければね。カニ牧場!(テンション無理上げ)

0014-01 (0028)

「だいじょうぶかなぁ、あれで」
「街中程度ならともかく、ここに連れてくるわけにも行かないだろ」
「そうだけどさぁ」
 ルアムザは、大きく『外区』『内区』に分かれる。街の中央に、五王朝の中心たる宮殿“ロベルアムザ”を据え、そこから円を描く様に“横路”が、その円を8等分する様に“外路”が走る。内区はこのうち横路の内より3本目まで、それ以降を外区と呼ぶのだそうだ。内区は主に政治の中枢機関と貴族階級の住まい、外区には一般住居や酒場が並ぶ。そしてその境目に市場と、ルアムザという都市の性質を決定づける様な施設群──魔術学院が建ち並ぶ。とのことだ。俺達が寝泊まりする為の宿は、境からほんの少し外区へ入った所に有った。
 チャクが心配している原因たるあのウサギは現在、エサと水を床に置き、その廻りに囲い(のようなもの)を作って置いてきていた。しかし、豪気な事にペット可の宿だとは思わなかった。躾も済んでいないというのに良いのか? …いや、躾というものが必要なのかどうかすら、今の俺にはよく判らないんだが。
「んん、さっすが学院の多い所だよね。なんかこう、知的な依頼が多い様な気がする」
 護衛・討伐がメインだったテュパンに対し、ここ、ルアムザ斡旋公社──さすが首都だけあって、五王朝主要都市にある斡旋公社の総元締めだ──の依頼には、「自身の研究に役立つ品を持ってきてくれ」という類が圧倒的に多い。だがそれらに並ぶ品は、まるで俺の耳に届いた事のないものばかりだったので、当分その依頼は受けられない様な気がしたが。
「何か、お前に判りそうなのは有るか。こんな依頼群だと、俺は多分役立たずだろうからな」
「ええ~。いいじゃんいいじゃん、ユキヤくんもちゃんと見てよ。なんか良さそうなのあったらぼくに訊いてくれるとかでいいしさ、んね、ね?」
 チャクは“流れ流され”を信条とでもしているのか、どうにも他人に行動を依存する事が多い。つまりこいつが積極的にパーティを組もうとしていたのは、自身の行動にそういう方向性がある事をしっかり認識しているからなのだろう。…職業冒険者として、その傾向は危ういのじゃないかと思うのだが。
「──」
 ともあれ、ざっと依頼群を眺めてみる。××石を捜しています、○○山産の水晶求む!、**の依頼承ります……これはつまり実験台募集か。
「…ん」
 《魔術講師代行願う。魔術の講義と実践。魔術師の方限定でお願いします。》
「チャク、これ」
「あ、なんかあった?」
 どれどれと、俺の指差した紙を眺めるチャク。と、みるみる表情が歪んだ。
「…ぅぇえ。本気?」
「偶にはお前、人の役に立っても良いだろ。せっかくクラス登録がメイジ」
「サマナー! 召喚師!」
「…同じ魔術師ギルドなんだろ? だったらいいじゃないか」
 んんんん~。腕組みなんかして、真剣に悩み始めた。何がそんなに嫌なんだ?
「…そういえば」睨める様に、チャクは俺を見上げた。「ぼくがこれやってる時、ユキヤくんは何するの?」
「え?」
 …確かに、魔術理論の理の字くらいが何とか判る程度じゃ、見事に完全役立たずだ。と、ふととある単語が浮かび上がった。
「……まぁ、付き添い、だな」
「ぼくこれ自分からやりたーいって云った訳じゃないんだけどなぁ~」
 ぶつくさとぼやきつつも、チャクは紙をとって受付へと向かった。これはなかなか、見せ物としては面白くなるかもしれない。

0014-02 (0029)

「お待ちしておりましたわ」
 出迎えは、朗らかな笑みを浮かべた老女の形を取っていた。本日は宜しくお願いします。深々とお辞儀をする女性に、俺は慌ててチャクを「ぅぁっ」引っ張って出した。
「すみません、講師として来たのは俺ではなくコレなんですが」
「んも何それ“コレ”ってひどいなぁユキヤくん突然ったぁ~~」
「あらまぁ、ごめんなさいね」
 ああこういうのが“花が香る様な笑み”とかなんとか云うんだろうなと思う。どうせ歳を取るのなら、こんな風に重ねていきたいと思わせる人だ。
 チャクに言葉と辞儀を掛けてから、老女は改めて俺を見た。
「では、貴方は?」
「付き添い兼子守です」
「うわぁ、そこはかとなくすらない酷い事云ってるよ」
 お邪魔じゃなければ、と付け加えると、老女は歓迎しますと、また穏やかに微笑った。どうぞこちらへと廷内を示し歩き出した老女に、俺とチャクも倣う。

 この学院は《封歌の庭園》という名前だった(詩的だね、とはチャクの談だ)。俺達の泊まっている宿と丁度同じ横路に位置している。一般的に内区の人間を種とするのが魔術学院というものの性質なのだそうだが(少なくともルアムザではそうらしい)、この学院は、主に外区の子供らを対象にしているとの事だった。
「珍しいんだよ、ホント。ふつうお金がかかるから、小さい頃から魔術の勉強だなんて、良いトコの子くらいしか無理なんだから」
 待合室に案内され、茶を戴いて暫し待つ間、チャクがそう説明してくれた。俺の場合は、昔近所に住んでいた人間から魔術という物の上っ面の方を聞いた事があるだけなので、その辺の事情的な話は良く判らない。そもそも俺の知っている理論が《虹色の夜》を経た地(グローエス)でも共通なのかという点は、多少気にはなるところだ。
「…そういえば」
 カップと擦れて、ソーサーがかちゃりと音を立てた。
「チャクも旅して来たんだよな、船で。その割に、お前随分この国に詳しくないか?」
「んもしっつれいだな。それはぼくが調査不十分のままふらふらふらりとワカメの様に漂って世の中渡ってるって云ってるのと同じだよ?」
「そう云ってる。違うのか?」
 最近ユキヤくんは随分ひどいなぁとしかめっ面を見せてから、チャクはびしりと俺を指差した。
「ぼくだってねえ、自分が初めて赴く先の下調べくらい、ちゃんとやるんだよ。変なコトして死にたくないもん」
 …そうは云うが、俺は特攻癖を前面に押し出した様な所しか見受けた試しがないのだが。
「ほら怖いし、宗教関係なんか特に」
 成程、目の付け所が違うんだな。色んな意味で。

 チャクの指が淡い光を放ちながら印章を刻んでいく。それはチャクの背後にある黒板に書かれた絵柄を丁寧になぞっていた。
「私はもう、術式を扱える身ではありませんから」
 あの待合室で、老婦人はそう云った。理論の教授は自分がやるが、実践部分を頼みたいのだという。今までもそんな調子で授業が行われていたのかと訊ねたら、ほんの数日前までは、専門で講師をして貰っていた人間がいたのだそうなのだが。
「突然連絡が絶えてしまって。お宅の方にも伺ったんですけれども、生憎」
 つまり、(もし講師だった人間が戻ってくるのならだが)一時的な代打(ピンチヒッター)として、魔術講師を捜していたのだそうだ。
 印章を描き終わったチャクがその軌跡の中心をとんと小突くと、掌サイズの小動物が現れた。今日の授業は召喚術の一環だったらしい。教室の一番後ろに居る俺からはよく見えないが、どうやらチャクが喚んだのは、齧歯類に似た動物の様だ。しかし、思い描いた物とは少々違ったのだろうか、チャクの表情が微妙に歪んだ。
 召喚魔術は、イメージが大事なのだという(今し方行われた講義の受け売りだが)。印章を正確に刻む能力(それと勿論記憶力)は当然要求されるもののひとつだが、一番重要なのは、理の流れ(イーサ)を自らの思い描く形に連れて行く手続きなのだそうだ。
 なかなか勉強になっていいな、こういう依頼は。そんなことを考えていると、窓際の一角にいた少年が「せんせい!」と自慢気な声を上げながら直立した。何でも自習の成果を見せたいのだとか。その指先は印章を辿っているが、黒板の物とは少々違う様だ。
 と。感心する様にそれをみていた老女とチャクが、あッと何かに気付いた様に目を見開いた。チャクが立てかけていた杖を取りながら俺を見る。それを受け、俺も小走りに教室の前へ向かう。
 そこで、みしり、と、嫌な音が響いた。
 生徒達が悲鳴を上げる。少年の描いていた印章は一度大きく震えると、その光の軌跡を纏ったまま、大型の四足獣へと形を取っていったのだ。
「ほぼまちがいなく人を襲うタイプだ」
 予断許さぬ様な表情(珍しい)で、チャクが俺に告げる。
「詳しい説明は後で訊く。俺が牽制するから、お前が撃て」
 俺の応えにチャクが頷くのを見てから、腰から脇差を抜いた。
 老女に従って、子供らは不定召喚獣(イーサライズビースト)の対角へ固まった。ケモノは武器を抜いて構える俺達を当面の敵と取ったか、大きく唸ると、俺達へ向かい跳躍した。

「印章による召喚って結局イメージに引っ張られるから、失敗すると術者の脳内イメージがなんとなーく形になっちゃうんだよね」
 あれから。
 なんとかケモノをただのイーサに戻す事が出来てふと辺りを見回すと、机は倒れ(1台ケモノの重量により見事に割れた)、椅子の脚も折れ(チャクがケモノの特攻を喰らって飛ばされた)、床は焦げ(チャクが場所を考えず雷を喚んだ)、そして子供らは泣き喚いていた。
 ケモノとの戦闘よりも、事態の収拾の方に時間を取られ、漸く片づき報酬(講師料というよりは退治料だな)を受け取った時には、既に日が暮れていた。そして、宿まで戻る10分足らずの間に、チャクから簡単な説明を受けていたのだ。
「あの子多分、冒険譚に良く出てくる様な、なんかカッコいいものが喚びたかったんじゃないかなぁ。それであんな形になっちゃって、んで廻りの怯えた感情に流されて、それを喰う側に回っちゃったんだとおもうんだよね」
「…結構厄介なんだな、魔術ってのは」
「んまぁ、そりゃね。イーサ干渉って、魔術だろうと神蹟だろうと結局なんだかんだ云ったって自然に反発するものだし。そうかんたんに出来ちゃったら逆にまずいと思うよ? 下手うったら地形が変わっちゃうなんて事もあるかもだし。《現出》みた──あ! そうだ!」
 人が、珍しく感心をしていたというのに。こいつは自らそれをひっくり返してくれた。
「ちょっと部屋着いたらウサギじっくり見せてよ。んもうぼくあそこでウサギに似たの喚ぶつもりだったのになんであんなにぶっさいくなネズミとカエルのあいのこみたいになっちゃうのかなぁもう~」
 まぁチャクはこの方が“らしい”な等と思いながら、宿の戸口をくぐった。さて、当のウサギは大人しくしていただろうか。

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